田中 政臣 × 金田 喜稔
"ビジネスとサッカーにおける競争と社会環境"

元サッカー日本代表”異端の天才ドリブラー”金田喜稔。
JASDAQ1部に上場する株式会社グリムス 代表取締役社長 田中政臣氏。
東京は天王洲。ビジネスとサッカーにおける競争と社会環境を巡る対談が実現した。

 
−田中
「まず当社は2005年7月に創業しまして、2009年3月にJASDAQに上場を果たしました。
平均年齢27歳という若さ溢れるベンチャー企業でして、創業より電力の完全自由化を見据え、幅広くお客様のエネルギーソリューションにお応えすることを第一として各種の商品・サービスを取り揃えてまいりました。
 
エネルギーコストソリューション事業においては、電子ブレーカーの販売や電力の取次など、低圧電力需要化から高圧電力需要化まであらゆる電力市場に対応する事業者向けの商品・サービスを提供しております。
 
スマートハウスプロジェクト事業においては、太陽光発電システムや蓄電池、オール電化といったご家庭向けの商品・サービスを提供しております。また再生可能エネルギーの開発として、グリムスソーラー嬬恋太陽光発電所(1.7メガワット)とグリムスソーラー懐山 太陽光発電所(1.3メガワット)の2基のメガソーラー発電所が稼動しております。
 
また、電力自由化のもと、小売電気事業として昨年より電力の小売を開始しており、当社グループからお客様へ電気を供給する新しいサービスの提供が可能となりました。」
−金田
「例えば、東京電力みたいな大手の電力会社があるじゃないですか、一般家庭はどういうルートでそこと契約しているのか僕は全然わからないんですけれども、電気料金って各家庭で月々払うわけじゃないですか、そういう大手の電力会社からグリムスさんで電気を仕入れて一般家庭にも安く供給できるんですか? 」
 
 
−田中
「一般家庭も最近は電気を選べる時代になりましたが、あんまり変えている人って実際はまだ少ないんですよ。昨年の4月に自由化になったのを受けて弊社はどちらかとゆうと企業でも特に製造業や工場関係に対して積極的にコンサルしています。競合もいないんですよ。いま約1万契約ぐらいですかね、電気の販売を1年で開始してまして、実際送電の元幹も電力会社のものをそのまま使わせていただいて、隣の電気の卸取引所と言うところから電気を買って、お客様に提供するということが現実的にできるようになっています。
 

 
電気料金自体がものすごく安くなるわけじゃないんですけれども、一番強みがあるのは最近ですとたくさん会員さんを持たれている様な携帯電話会社とかで「電話とセットで電気を使ってもらい、家の電話、携帯電話、電気、まとめて請求してもらったら割引を全体的にしますよ」と言うケースが一般家庭ですと多いですね。我々としてはもともと顧客の基盤は個人向けにありませんので、中小企業向けにやっている感じです。多いところで大体7%くらい電気代が安くなる感じですかね。特に製造業っていうのは電気使うのが仕事みたいなところがあるじゃないですか。企業の7%となると相当な額になるので、コスト削減にはもってこいです。弊社から買おうが東電から買っても電気が変わって非常用電源が使えないとか、停電しちゃうっていうこともないですし。本当に契約のペーパーだけ替えてもらえればと思いますね。その辺が日本で最近できた新しい規制緩和ですね。サッカーに規制ってあるんですか?」

−金田
「ないですね。ひらけた世界ですよ。要は共通のルールのもとで競争すればチームは普通にプロを目指せる。」
 
 
−田中
「競争とゆうと、アメリカなどの海外でも電気が選べると言うのは当たり前なんですよ。日本ぐらいかもしれないですね。何かを選択できる社会っていうのは本来当たり前の社会であって、一般の方がいろんなところから気に入ったものを選べる仕組みとゆうのが元気があってもいいかもしれないですね。
それは電気であっても消費であっても、質が上がったり価格を下げたり競争が働くってゆう。 」

−金田
「プロクラブの経営をしていく上で、選手やフロントの人件費はもちろん、スタジアムやグラウンドの運営管理とかも含めて、年間で利益が上げられないとプロになれませんし続けていけませんからね。ただ、誰もが経営をできるわけでは無いですけれど、夢を見るのは自由ですよね。だから夢のある社会だと思いますよ。
昔から比べたら子供のサッカー人口が増えてますし、僕は全国行って小学生も中学生も高校生を対象に指導したりしますしね、当然プロを目指してワールドカップで活躍するような選手になってほしいし、次世代に僕らの経験を伝えていこうって言う活動を名蹴会を通じてやってきてますけど、それになれるの多分1%以下なんですよ。
ただ1993年からプロリーグが始まって、極端な話、選手のケアをするトレーナーとかホペイロ、チームドクターであるとか、広報であるとか営業であるとか、選手にはなれなかったけれど、サッカーが好きでサッカーと言うマーケットの中で自分の生活基盤を作れるんだよって言う世界は徐々に広がってますよね。良いことだと思いますよ。」
 
 

 
−田中
「そういう考え方って昔は無かったかもしれないですね。とにかく選手を目指せっ!て言う感じで。」

 
 

−金田
「そうなんですよ。そこは誰もが多分、最初はプロを目指して、将来は日の丸をつけてワールドカップに出て、海外で活躍して~って言う風になると思いますけど、やっぱりサッカーが好きでサッカーに関わると言う意味においては、僕らみたいに選手じゃなきゃ気がすまないって言う人ばかりじゃないんですよね。
同じプロのチームの中にも仕事や役割はたくさんあるし、お客さんをスタジアムに集めたり、選手をサポートしたり、チームの運営管理をしたり、そういうことも含めて”サッカーが好き”で、さらにサッカーで"生活基盤を作る"って言うのが、サッカーマーケットが広がったことの強みですね。」
 
 
−田中
「私の親友で薮崎真哉って男がいるんですけど、彼は柏レイソルでプレイをして、実際には数試合で引退しちゃったんですけど、その後柏レイソルからアルゼンチンのリーグに入ってうまくいかずに日本に戻ってきて、たまたま私の前職の会社に面接にこられて、「僕は実は柏レイソルを退団してアルゼンチンに行き、引退して帰国して就職先を探しています」と。会社としては当然オッケーを出したんですけども、たまたま他の会社に就職されて、今ではインターネット企業を立ち上げて、会社が随分大きくなって今では柏レイソルのスポンサーになっているんですよ。今でも月一回は飲みに行くんですけど、「自分としてはサッカー離れちゃったけどレイソルに何かしら関わりたい」と言うことで会社を大きくして、かなりの頑張り屋ですね。」

−金田
「こないだもね、僕は日本代表のOB選手たちと全国に行ってその地元の子供たちにサッカークリニックをしてるんですけど、僕らみたいなOB選手を観に地域の方々が何千人とスタジアムに観に来てくれるんですよ。その日に一緒だったあるOBから聞いたんですけど、「20歳からガンバに所属したユース選手が首を切られて、引退した後にリサイクル事業を立ち上げて株式上場して、すごい利益を上げる会社に育って今ではガンバ大阪のスポンサーをやってるんですよ」って言うんですよ。
それを聞いたときに凄い奴やなと思いましたね。首切られてるんだから、ちょっと引くじゃないですか、普通。
首切られたから会社作って見返すと言うことじゃなくて、ガンバが好きで、お世話になったから支援したいって良い話だよね。だから田中社長が今おっしゃったレイソルの藪崎さんもすごいなぁと思って。」
 
 

 
−田中
「クラブに対しての思いがあったみたいですね。サポーターも”ありがとう藪崎真哉”みたいな感じで横断幕作って声援を投げかけているのを目の当たりにしまして、サポーターの声援と拍手がすごかったんですよ。引退して起業して苦労して柏レイソルのスポンサーまで来たっていうヒストリーをサポーターは知っているんでしょうね。感動しましたよ。」
 
 
−金田
「いろんなスポーツにファンは当然いますけど、サッカーのサポーターっていうのは”誰がOBになってどういう仕事について、どういう社会貢献をしているのか”っていうのは結構知っている方多いですよね。
たまたまサッカーの試合後にスタジアムでサポーターが皆んなでゴミを拾いましたみたいなことがニュースになったりしてますけど、こういった事例、こういった熱いエネルギーを持ったサポーターやOBがいる、クラブがある環境や社会って良いですよね。」
photograph & text by SATO Shogo

PROFILE|田中政臣 -TANAKA Masaomi-
 

1978年横浜市生まれ。株式会社グリムス代表取締役社長。

超実力主義の会社に入社後、半年でトップセールスになり同社取締役まで務める。2005年に株式会社グリムスを設立後、2008年にJASDAQへ上場。

「すべての人に感動と喜びを」を企業理念に掲げ、次世代のリーダーとして、その経営手腕が注目されている。